自分が撮りたい写真とは?-2

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前回からの続きを。
やっと筆が乗ってきましたのでこの勢いでいきます!

Leica M9ですが、思った通り撮影に大苦戦します(笑)

まずフォーカスがマニュアルです(当たり前ですが)。
最初は、なかなかフォーカスを合わせることができずにもたもたしていたので、
モデルも大変だっただろうなと思います(笑)
案の定、帰って撮影した写真を見ると、フォーカスが合っていない写真はもちろん、
手振れ、被写体ブレ、タイミングが合わずに半目の写真が続出でした。
撮影した写真も、その場で細かく検証できるような液晶ではないので、
きちんと撮れているのか、不安を抱えながら家で確認して落胆する日々が続いていきます。
フレーミングに関しては、元々それほどこだわって撮影していたわけではないので
多少ずれることを想定して写真を撮ることは、問題ありませんでした。

上記のようなことから、Leicaを買ったはいいが、使わなくなってしまう人が
半分以上いるのではないだろうかと思ったものです。

そして、そんな練習を兼ねて撮影をしているうちに、時々思わず息をのむような写真が
混ざるようになってきます。


最初この写真をPCで見たときは感動しました。そして余計なものがたくさん写っていて頭を抱えました(笑)
BEATNIK実践編講座
 Model yuka
Leica M9/summarit 5cm F1.5
Adobe Lightroomで編集

私にとって息をのむ写真とは、自分が見た「情景」がそのまま写り込んでいる写真だということが
段々わかってきました。
それを実感させてくれたのが、Leicaです。

私はこの「情景」という言葉が、よい写真を表現する言葉として、自分の中で今一番しっくりきています。
情景とは、心を動かす・記憶に残るといった、ただの風景や景色ではない様を表している言葉です。
私が心動かされたこと、記憶に残したいと思ったこと、そしてなにより写真を撮りたいと思った動機が
写り込んでいることが、自分にとっての良い写真の物差しになっています。

そして、今まで撮れなかった、自分にとって良い写真が、M9から続々と出てくるわけです。

最初は信じられませんでした。
現場では、露出を見ながら、フォーカス合わせに四苦八苦しているわけで、出来上がりなど
考える暇もありません。
そんな状況で良い写真など生まれるわけがないと思っていたのです。

しかし現実はそうではなかったのです。

ここで、野田先生が普段から言っていた言葉を思い出しました。

写真を撮るときは光を見ていればいい。
それがどんな場所であろうが、構図がどうであろうが
余計なものが写り込もうが関係ない。
まずよい光を探し、そこで写真を撮りなさい。

私は馬鹿が付くほど素直に、まずは言われたことをとことん実践する主義です。
そして違っていたら文句を言う人間です(笑)
私はこの時、写真を始めて1年、いつの間にか光だけは見れるようになっていて
どのように活かしたらよいかを考えて、自然と露出を合わせることが
できるようになっていたのを実感しました。
野田先生の言っていたことは、私にとっては間違いなかったのです。
感謝しかありません。

そして、上の写真をご覧いただけばわかるように、馬鹿素直に光しか見てないので
雰囲気をぶち壊してくれるような電気コードが、しっかりと写り込んでいるわけです(笑)

そしてもう一つの重要な役割が、実はLeicaだったと確信しています。
必死になってフレームをのぞいて、撮りたい写真を頭に浮かべながら
念を込めてシャッターを切る。
普通のデジタルカメラであれば、同じシーンで露出を変えたり、フレーミングを変えたりしながら
何回もシャッターを切って、後で良いのをピックアップと思っていたことでしょう。
しかし、そのスタイルでは、私が求める情景を写しこむことは難しいと思います。

1枚1枚を、必死に、そして大事に撮ろうとしたからこそ
私は写真を撮る上で大切なことにに気づくことができたのだと思います。

フレーム内をしっかり見る意識は、後からでも身に付きます。
構図も必要を感じれば、自ずと勉強し身に付くと思います。
フォーカス・ホワイトバランス・ブレ、そんなことは些細なことです。

写真を撮る上で最も重要なことは何なのか。
それは人それぞれ違うと思いますが、少なくとも私にとっては
Leicaが「情景だよ」と、教えてくれたのです。

さてここまで来れば、私がなぜフィルムを始めたかは想像できるのではないでしょうか。

次は現在進行形のフィルムカメラの話でもしましょうかね。